『桜の季節に死にたい』
と。
余命幾ばくもないと宣告された彼は、誕生日にそう呟いた。
その時、病室の外には紅葉した桜が立っていた。
『お前と1歳差になる、誕生日を祝って死にたい』
重ねて言われた言葉は、
出会ってからのけして短いとは言えぬ月日の中で、俺のコンプレックスを知るが故の。
それを不謹慎にも嬉しいと思う自分とは別に、
ただただ呆然とその言葉の重みを噛みしめている自分がいた。
………死に別れる、と言う現実が間近に来ているのだ、と。
『長太郎、ごめんな?』
そう言って、以前お気に入りだと言っていた銀灰色の髪を梳ってくる彼に、
命の期限を知った時の激しく感情を揺らした姿は既に無く。
ただ静かに、
悟った様に静かに微笑う彼の手に、ただ縋るコトしか俺には出来なかった。
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日記から移植のSSS。
今、TEXT用に焼き直しているので繋ぎとして載せてみました。
比較して頂ければ幸いです。
そして弁解させてもらいますと、海石は死にネタが好きとゆう訳では有りません;
このSSSも『サナトリウムネタ』位の気持ち;(←嘘っぽい)
ただ何となく淡々とした文章を書いてみたかっただけなんです・・・・;
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